Temo che combatterò la primavera in blu.

ほとんど昔の、嘘と本当の交じった日記

ねえチェルシー、無責任に言葉を放って!

夕焼けの多摩川に架かるガス橋を歩き大田区に進入していた。オレンジ色が跳ね返る水面のあちらこちらに鴨が浮かんでいて、眩しくないのか不思議に思う。その先に目線をあげていけば対岸の河川敷に染井吉野の並木が遠くの方までずらりと立ち並んでいる。桜並…

ひとかけらの僕を、永久に失うための予約

施術を受けることが好きである。整体やマッサージはもちろんのこと、美容院でのカット・シャンプーなどが人一倍好きだと自負している。誰かに己の身体をそっくり委ねることが心地良いのだと思う。 幼い頃は両親に耳かきを毎日の様にお願いしていた。梵天側を…

裸足で歩くみなとまち

何時だったかTwitterで見かけた「愛なんて何かわからないけれど、美味しいものを食べて欲しいことと悲しい涙を流すことが一度でも少なくなって欲しいことはきっと愛だと思っている」というツイートを忘れられない。僕も寸分違わずそうだと思っている。もう遠…

歪な息吹で、いびきだなんて

もう長いこと愛用していた枕を洗濯機で回してみたら、中身のクッションが揉みくちゃになってまるで呪物のようなおぞましい見た目になってしまった。洗濯表示を読むと「手洗いのみ」の文字が。温室育ちめ。耐えろ。僕の枕は使用者の頭や首にあわせて形や高さ…

田舎に移り住んだら深夜にコンビニは行けないか

もう十二月も目前ですね。随分寒くなりました。心にすこし余裕のある夜には、裸足にサンダルを履いてコンビニに行きます。当然、足の指先はむちゃくちゃに寒いのですけど。パキンと割れてしまいそうな夜へ無謀に飛び出していくのは、何故だかとても気持ちが…

何処か遠くへ飛んでいきたくなる。君が何かをあきらめているなら、気づまりな暮らしや未来をまるっと吹き飛ばす、この惑星の爆発みたいな幸せをあげる。

出さずに食べた手紙、飲み込んだ言葉に栄養はあるか

十月も半ばを過ぎて、暦の上だけに在った秋が気づけば本物になった。肌寒い日が続いている。先月号のニュートンにも秋夜の寂寞の訳は載ってなかった。たぶん空気の組成にさみしさの分子が交じるんだろう。この頃は曇りばかりで星を見ていないな。いや、久し…

本を読むためには、まず服を脱ぎます

本を読むときは清潔でいたい。これは何となく僕が大切にしているポリシーのひとつである。本を読みたいと思ったら、まず最初に己の身体を省みる。汗で髪や身体がベタついていないか?前髪が乱れて目に落ちてきたら集中できないし、頭皮がかゆかったらイヤな…

手はつなぐ為にあるんじゃないのかな?

今朝は歯を磨きながらぼうっと最近の出来事を反芻していた。曖昧な記憶の波間を泳いでいるうちに、ふと自分自身の変な癖を発見した。 それは人との別れ際、相手と手を合わせようとするという癖である。まず最初に述べることとして、このときの手のかたちは基…

たとえば、浴槽の縁ケツ滑りを許すこと

小学生の時の修学旅行だっただろうか。クラスメイトとの初めての外泊体験、興奮冷めやらぬ男子達にはあるひとつの命令が下っていた。「風呂で騒ぐな暴れるな」。夕食後の大浴場での規定だが、それはもう前日オリエンテーションから当日の入浴直前まで口酸っ…

理屈や利益には救えない心のベクトル

最近同棲を始めた友人達の部屋は、木々のあわいにおちた陽溜まりのように優しい空気に満たされていて、まるで彼等の明るい未来を暗示しているような気がした。夜中まで丹念にオイルを塗り込んだのだという無垢のダイニングテーブルは確かに立派な代物で、朝…

幾度目かのストロベリー・ムーンで

昨晩は特別な光の波長によって、満月が赤く染められたらしい。“らしい”と表現するのは勿論、僕はそれを見逃しているからである。昨日は部屋から出ずに映画を三本ぶっ続けで見てしまった。宇宙の粋なはからいを見逃したのに気付いたのは、翌日である今日の、…

雷、或いは心がざわつくニュースの日には

街の一切合切がまるごと爆裂したみたいな、おそろしい雷が鳴った。前触れのない衝撃音とともに建物が大きく揺れて、それが天候のもたらしたものと理解するのに時間を要した。近所の工場が非現実的な大事故でも起こしたのかと推測したほどだ。窓の外に目を向…

港の倉庫に来い。14:30迄に。

国民の祝日が運命に仕組まれたように一堂に会する素晴らしき連休、ゴールデン・ウィーク。あっ、という間にカレンダーは流れ、黄金色の日々は最終日を迎えた。僕は絵に書いたような絶望の面でベッドに沈みこんでいた。明日からはみどりの日でも、青の日でも…

国道246号、高架橋にて生を実感す

どこかにスマホを落とした。 やばい。まじやばい。 気が動転する。事態はこの上なく最悪だった。それを決定づけたのは、ここがデカく長い国道であり、僕は原付で脇目もふらず走行してきたということだった。 場所は国道246号、溝の口付近。歩道のない高架橋…

お楽しみ毛玉付きコートのススメ

ウィンター・シーズンが過ぎて、今年も着古しのコートを仕舞う。何年か前に購入して以来、毎年活躍してくれている。オーバーサイズ気味を選んだのが幸い、まだ流行り廃りのラインからギリギリ外れることなく着れている、と思っている。ファッションセンスに…

言葉を尽くしてみろ、小論文5なら

昔の恋人のストーリーズはあまり見たくないので、突然流れてくると慌ててスワイプで飛ばしてしまうのが常だ。ただ、その一瞬の間はまるでびゅうと通り抜ける風のようで、懐かしい匂いについ後ろを振り返ってしまう。過ぎてしまえばもう何処にも姿は無い。溜…

人間観察が趣味って言うのはやめとけ

ふとした、なんてことの無い人のすがたを、いつまでも覚えていたりする。 例えば、町角のちいさな床屋の店主である、妙齢のご夫人。その床屋はあきらかにお年を召した方向けだなと思わせる店名・外装だが、それがなんともかわいらしい。きっと僕が生まれる前…

西谷星川

久しぶりに相鉄線に乗った。高校生の頃は、毎日通学で利用していた。しかし、社会人になった今では相鉄沿線は生活圏内から外れてしまい、次第に利用することも少なくなった。二俣川を発車し、横浜へ向かう快速急行。夕方、西陽が容赦なく差し込んで、視界の…

いつまでエウ・ゼーンでいられる?

朝の田園都市線は急行の本数を減らして運行している。逃してしまうと、結構長いこと電車に揺られなければいけなくなる。だから本当はまだ微睡んでいるほうが楽だけど、己に鞭をいれて浴室へと向かう。この時期は服を脱ぐことさえ億劫になる。昨日は雪も降っ…

卯の花腐し

夜更け頃に雨は本物になった。今朝は憂鬱な気分で支度をした。家を出て数分も経てば、足元は裾までずぶ濡れだった。風もどんどん強く吹き荒れ、雨はもはや嵐と呼ぶに値するほど凄烈に成長していた。あーあ、灰色のスウェット・シャツを選んだのは間違いだっ…

Linha d'água

母はこの街のオススメスポットをたくさん知っている。「海の近く」という湘南のフリー・マガジンを読んでいて、茅ヶ崎のあたりをマイカーでドライブしたり、お友達と一緒にランチをとったりしたのだという話をよく楽しそうに話している。今日はそんな母に教…

こけこっこ

今朝は漫画みたいに鶏が鳴いたから気分がよかった。仕事に向かう足取りも少し軽い気がした。久しぶりに実家に戻っていたのだが、地元の町も大きな変わりがなくて安心した。うちの町内には小さな牧場があるのだ。近くを通れば牛や鶏の鳴き声が聞こえる。そん…

primavera blu

長い間、春の青に溺れていた。 春の訪れを蔑したいように厳しかった明方の空気も何処へやら。新しい一日があんまり優しく始まるものだから、僕は布団の中で二月のそれとは違う名残惜しさを噛み締める。カーテンの隙間から柔らかい光が降っている。朝が来たん…

九月は寂寞のさなか

呆気なく夏が終わった。曇りの日が続いていて、少しずつ肌に触れる空気がつめたく、空が乾いていくのがわかる。九月について思ってみる。九月のことを、僕は好きでも嫌いでもない…そこまで書いてみて、嘘だ、と思った。それは明瞭に嘘だった。そこから思い付…